ひとつの極論のフォーマット
MIAUの主張に含める予定のない個人的な見解は、以降もここに落書きされていく予定である。もちろん何かの間違いで吸い上げられる事もありうるけど。
ダウンロード違法化に反対する人間は、違法ダウンロード推奨で、違法ダウンロードは放置しておいてもいいのか、というアジテーションを見せることがある。こういった極論は、他の分野でもいろんな形で見られる。
たとえば、アメリカで銃乱射事件が起こると、銃の販売は全て違法化すべきである、という主張が必ず起こる。これに(どんな理由であれ)反対すると、彼らは「銃規制に反対する人間は、乱射事件でいくら人が死んでもいいのか」と主張するわけである。
たとえば子供が酒酔い運転に巻き込まれて死亡する事件が1件起こり、それがたまたまマスメディアに有力なコネがあったりして大々的に報道されたりすると1、酒酔い運転を厳罰化しろ、死刑にしろ、といった主張が必ず起こる。これに(どんな理由であれ)反対すると、彼らは「厳罰化に反対する人間は、飲酒運転でいくら罪のない人々が死んでもいいのか」と主張するわけである。
まあ、逆に言えば、ダウンロード違法化を推進する人間は、ネット上の表現の自由が損なわれてもいいと言うのか、という次元の主張を見たら、それは議論ではないと言いたくなるだろう。
実際に採り入れられるのは、もっと深入りした主張になろう。違法化賛成派が↑程度の内容でパブリックコメントを投げているということであれば、それはそれで結構なことだが。
MIAUのパブリックコメント案
MIAUから違法ダウンロードに関するパブリックコメント関係の一連の文書が公開された。提出する形でまとめられたパブコメ案と、ニコ厨の皆さんでも分かるような素材集、それとパブリックコメントの書き方の解説、が載せられている。
- コメント案 http://miau.jp/1193380201.phtml
- パブコメ素材 http://miau.jp/1193380202.phtml
- 意見提出方法 http://miau.jp/1193380203.phtml
コメント案は、実際的なものから理念的なものまで、幅広く載せてあるので、見た人が自分の趣味に合わせて再利用してくれるといいと思う。
上記コメント案の内容と僕の主張が食い違う部分は特に無いと考えているので、補足的な話を書いておきたい。
虚偽の著作権表示は違法化すべきである、という考えは、id:atsushieno:20050204:p1の頃(いや多分それよりずっと前)から既に表明しているのだけど、ダウンロードを違法化するというのであれば、これは絶対に規定されなければならないと思う。カジュアル・コピーライトが流行している現在、一般人でも安易に虚偽の著作権表示を行う可能性は低くないので、いきなり刑事罰まで科するのは行き過ぎかもしれない。しかしRIAJの言う「適法ダウンロードマーク」を付けている業者であれば、資格剥奪や刑事罰の対象としてもおかしくないかもしれない。高度な注意義務があるはずだし、その違反行為の違法性の強さも著しいからだ。
こんなこと考えるのは僕だけだろう、と思っていたが、ロージナ茶会(ネオ茶会)からも同様の意見が上がってきていた。
先進ユーザーについての個人的見解
MIAUに対する反応は数多く見られるけど、特に僕が興味深く読んだのはこれ。
http://d.hatena.ne.jp/mkusunok/20071022/miau
まあ以下は、全部僕が他の誰に確認したわけでもない個人的な理解だけど。
インターネット先進ユーザーとは、偏見に満ちた表現をすると2%の加入者で帯域の9割以上を専有している迷惑な奴らであって、政府にとっても事業者にとっても決して多数派ではない。多数派とはWinnyはインストールが面倒だし情報漏洩が云々とニュースに出たのが怖くて使うのを止め、Youtubeやニコ動は合法だろうが違法だろうが気にせずに使い、DRMが云々といわれても「はぁ?」という連中だ。
僕らがイメージしている先進ユーザーというのは、むしろ位置付けとしてはこの「多数派」(でPCやケータイでメールくらいしか見られないのが多分先進的でないユーザー)の中で、その使い方を心得ている連中である。僕らは別にWinnyユーザーやネット廃人を代表する団体ではない2し、またEFF的なネットの自由を守る「先鋭部隊」でもない(いい意味で)のではないかと思っている。これは詳しく書く前にもうひとつ。
一方でダウンロード違法化の問題から手を付けたことについては些か失望したし、自分としては参加し難く、応援し難くなった気もする。それは地デジや著作権期間延長の問題と比べて、ダウンロード違法化の問題は立場によって意見が分かれ主張の正統性が微妙だからだ。
後段は認識としては全くその通りで、パブリックコメントにどうネットユーザーの皆さんに向き合ってもらうか、MIAUの活動として多少苦心している部分でもある。MIAUの発起人11人で意見をまとめることに腐心しているという意味ではない。「意見集約団体」としてのMIAUが、実際にただ我々の意見を押しつけるというのでは、(まあそれでも啓蒙団体として上から目線で存続しても良いのだが)幅広い支持を得られる団体ではなくなってしまう、ということを懸念しているのである。
とはいえ、これはダウンロード違法化への反対意思表明という「既定路線」的な目先の活動方針と、矛盾するものではない。id:copyright:20070929:p1 のアンケート結果を見ると、ネットユーザーというものは、概ねこの「ダウンロード違法化」に反対であるということが分かる。MIAUの活動は、各自バラバラな立ち位置に基づくとしても、できるだけ多くのネットユーザーの声を、政治3に反映させていくことで、自ずと達成できるものだと言えるのである。それを簡単にすることをMIAUでは実現したいし、MIAUを待たなくても自分の声は政治に伝えるという意気が既にある人は是非実行してもらいたいと思う。
先鋭的な主張は、どんどん紹介したいが、その立場「の」代弁者になるというよりは、多数のユーザーに、できるだけ先進ユーザーとしての理想的な立ち位置を伝えて、動き出してくれた結果を代表するというのが望ましいし、そうであれば政治にもフィードバックしやすいと僕は思う。
lawful good, lawful evil, chaotic good, chaotic evil
それに、ダウンロード違法化って、その目的はもっと泥臭いところにあって、要はRIAJその他が合法マークとか自分たちに従わないサイトを「違法サイト」呼ばわりすることで、自分たちの市場力を競争原理以外の方法で強化することが目的なんだろう、と僕は思っている。法的には現在でも送信可能化権で対応する事は十分に可能だし、ダウンロードが違法化されたって、被害状況などほとんど変わらないだろう。
JASRACが着メロが流行し出した頃に優秀な草の根MIDIコピーを殲滅して、自分たちの統制下で出来の悪い「着メロ」を押しつけた頃と、音楽著作権団体の体質は本質的に何も変わっていない。パブコメ案で言及したMYUTA事件なんかも、この界隈で昔何があったかを知ると、見方が変わる人も少なくないのではないだろうか。違法化に賛成なんて、クリーンな立場を代表する声であるとは、とても思えないわけだ。
“MIAU設立に寄せて”
yomoyomoさんの方がよっぽどMIAU的な立場で話をまとめている件。
僕自身は、MIAUはクリエイティブ・コモンズとは違って「誰にもまず疑いようのない正しい価値を提供する」(そのかわり控えめな主張である)ことから何歩か進んだ主張をしていると思っているので、必ずしも熱烈な支持を期待していたわけではない。でも、否定的な反応が出てくるのが何でなのか、分からない人も少なくないはず。その理由は、この記事に書かれている通りなんだろう。
だから「別に文句はないけど、どうせ大したことはできないでしょ」と斜に構えておき、もしうまくいかなければ「ほら言った通りでしょ」と上から目線がネットユーザ的には無難なのかもしれません。
(もちろんネット上には単純に権利団体の立場で文章を書く人間も居るので、それは別論だけど。)