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ものがたり
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2008-11-10

保護利用小委のパブリックコメント個人版

今回MIAUのパブリックコメントについてはほとんどノータッチというか修正しただけなのだけど、いずれにしろMIAUとして表に出す見解は無難で面白くない内容になるので、わたしはもっと先進的なコメントを書くつもりでいた。(そういうノリはむしろロージナ茶会のものだ。)

というわけで以下ちょいちょいっと思いついたものを書いてみた:


(第2章第3節)
○権利情報データベースの国家による集中管理システムと公共への解放
著作権情報管理体系を構築するにあたっての最大の問題点は、それが集中管理されていないことにあるが、

(1) 一億総クリエイターの時代にあって、複数の著作権管理団体による権利情報の一元管理は事実上不可能である。
(2) 著作権管理情報の二重譲渡事件が社会で大きな話題となる中、登録情報の不整合や競争的登録情報なく、複数の著作権管理団体によって一貫性のある権利情報管理が可能であるとは考えにくい。特に現在(生じているべき)著作権管理事業者間における競争が、実質的な意味で生じてくると、この種の問題は多発する可能性が高い。
(3) 匿名の(変名とは異なる)著作者による著作物など、著作権情報を特定の権利団体が管理することが法律上不可能である場合が考えられる。
(4) 特定の権利管理団体に権利情報を寄託することを潔しとしない思想をもつ著作者の自由は守られるべきである。(著作権についてインセンティブ論の立場に立つ場合はともかく、自然権論の立場に立つ者にとっては、この論のみが必至であると考えられる。)

…といった数多くの問題がある。

特定の管理団体が著作権情報を管理することが法律上不可能である以上、これを前提とする第2章第3節2(2)マル1のiii)およびiv)の検討内容は、理論的に考えて実現不可能であると解すべきである。

ではこれらの事実を前提に情報をも包含する著作権情報体系として、どのような制度が適切であるか。私の意見としては、公営、あるいはそれに相当する権利管理システムであると考えられる。すなわち、国家による権利管理情報の統一的管理と、全クリエイターおよびコンシューマーに対するオープンな供与である。

そもそも著作権管理情報というものは、それ自体著作物的性質を伴うものではなく、またその集合体についても契約内容がその体系的構築を規定する以上、データベースとしての創作性も存しないものであり、さらには契約対象となる権利管理情報は全て(素材の選択の余地無く)集合するものであるから、編集著作物としての創作性も存しない。

すなわち、本来的に著作権管理事業者が独占する情報ではないはずである。

その情報について権利が存在せず、かつ最も効率的に国民が権利情報を共有できる、かつ最も信頼できる権利管理情報は、国民に広く共有された権利管理情報システムである。これをもっとも効率的に実現できるのは行政機関のみである。ただし、これを運用するデータベースの実装は、分散していても問題は無い。なお、ここでいう国民に対する共有とは、著作権の概念で言えばパブリックドメインということである(権利情報に対する権利は何ら存在しないのであるから、パブリックドメインが最も適切である)。

まず、権利管理データベース体系を構築することが必要になる。

権利管理データベースの内容は、(1)著作者による自主登録が中心となるが、(2)匿名の著作物など、ある程度明確に著作権者不明であると認められる場合については「著作権者不明」として登録することができるし、(3)著作権者情報を探索するための具体的な方法として「著作権者不明」を登録することができる。また(4)特にかつて公営であった社団法人が保有する著作権管理情報については、当時の権利管理情報を私的に独占できる正当な理由は、何ら存在しないのであるから、国家による返還請求を経て、直ちに国民に権利管理情報として共有することが可能である。

データベースを行政機関で運用することが困難であるとしたら、次善の策は、その体系をパブリックドメインにて公開し、分散オープンデータベースによる相互接続を活用した体系を行政によってバックアップすることである。すなわち、その運用は国民の有志に委ねられるかたちになる。この場合は特に、既存の登録事業者がその一部を構成することが望ましいので、そのように諸既存事業者に呼びかけるべきである。


とりあえずこれだけ。

ところで、この保護利用小委のパブリックコメントについては、コメント提出者を対象に文化庁が意識調査を行うそうだから、今からでも書けるというニートな人はなるべく書いてもの申した方がいいと思う。
http://www.bunka.go.jp/oshirase_koubo_saiyou/2008/chosakubutsu_hogo_ikenboshu.html
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=Pcm1010&BID=185000344

ついでに法制小委のパブリックコメントも

ちらっとやっつけた。こっちはぶっちゃけ面白くない(議論自体が)。↑は40分くらいでサクッと書けたけど、こっちは何を書くべきか迷って結局1時間以上かかってしまった。しかもMIAUの人たちが上手く細かい論点をまとめてくれたので(追記部分)、個人で改めて書くことがそんなに無かったりして。

前段は特にほんのちょっぴりだけ毒があるかも☆


(第2節 私的使用目的の複製の見直しについて)

ダウンロード違法化の導入に関して多大な弊害があること、それらの問題が全く議論されずに同委員会が継続されていること、という本質的な問題は、改めて指摘するまでもなく、既に十二分に国民に幅広く認知されていると思われる。
ここではプログラムの著作物をダウンロード違法化の対象とすることに関する個別具体的な論点についてのみ記す。

○第三者の著作権を侵害する有償ソフトウェアの検証を妨げる悪意の規定である

ソフトウェアのダウンロードが違法化されると、商用ソフトウェアベンダが第三者の著作権を侵害してソフトウェアを公開している場合、そのソフトウェアのライセンス規定を無視してダウンロードしリバースエンジニアリングを行う行為が違法とされてしまう。特にこの法案の審議にかかる関係団体が商用ソフトウェアの団体のみであり、フリーソフトウェア・オープンソースソフトウェアの団体が全く審議に参加していないことから、これは著作権侵害の疑いのある有償ソフトウェアの検証を積極的に妨げる悪意の法案ではないかという疑念が残る。特にリバースエンジニアリングにかかる規定に対して慎重な立場の者に対しては、この疑念は著しく大きい。リバースエンジニアリングにかかる規定が追加されない場合は、ダウンロード違法化案は必ず排除されなければならないと考える。

(第3節 リバース・エンジニアリングに係る法的課題について)

○権利制限規定の対象は単なる利用以外の全ての調査について適用すべき

リバースエンジニアリングを対象とする新規の権利制限規定の導入にあたっては、その対象となる目的を制限すべきではない。プログラムの著作物の権利の意義はその利用を制限することにあり、表現を知ることでもなければ、ましてやその背景にあるアイディアを保護するものではない(アイディアを保護するものであるという主張は、著作権法の根本を全く理解していないと言わざるを得ない)。
単なる利用のための複製や翻案がリバースエンジニアリングとはならない以上、対象目的を限定する実質的な意義はほぼ皆無であり、また目的の限定列挙は将来に向けて同制限規定を本質的に蚕食するものである。

従って、一般規定としては研究調査等の目的は無制限とし、「著作権法の目的に照らして重大な」研究行為による権利侵害的行為が問題となった場合にのみ「例外的に」権利制限規定の例外とする規定を設けることを検討すべきである。


あと、実効性のあるフェアユースを担保するために3年ごとの規定見直しを行う委員会を設け、また各種著作権侵害事件についてフェアユースと見なされるべきか判断する5人委員会を設ける、という案を思いついているのだけど、これは知財本部のパブリックコメントに相応しい内容なので、今回は書かないことにした。


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