最近Google Mapを見ていて非常に気になったことがある。それは、単なる機械的な衛星写真に対して、Google社が著作権を主張していることだ。何もない土地でGoogle Mapの写真を眺めてみると、©2005 Googleみたいなステガノグラフィが施されていることに気付くだろう。
写真というものは、写真であるというだけでは著作物にはならない。被写体を撮影する角度、光の当て方など、様々な創意工夫が認められなければ、著作物の定義には合致しないのである。衛星写真というものは単なる機械的な撮影だから、著作権が発生することなどあり得ないのである(曇っているときは撮らない等の考慮が働いているのは、技術的に考えて当たり前のことであって、芸術的な意味での創作性とは無関係である)。
一方、データベースとしての創作性があるかというと、緯度・経度情報を含む衛星写真の集合をもとに、地図をコンピュータ上に再現する他の方法があれば別だが、そうでなければ、素材の選択や体系的な構成に創作性があるとは言えないであろう。Google MapのJavascriptについてはよく知らないので、そのクエリコードに創作性があると認められれば、それはプログラムの著作物として認められる可能性は大いにあるが、それでも個々のデータに対する著作権が認められるわけではないので、クエリ結果である写真に対して著作権表示がなされるとしたら、それは日本法とは相容れないものであろう。
(もちろん、写真と違って地図には通常は著作物性が認められているので、Google Localについてはこの話は当てはまらない。)
コメント
kikuchiK — 02/28/2006 09:07:51
クエリ結果は単純な写真ではなく「写真の集合」ですよね。
言葉の定義には著作権はないが、それを集めると辞書として著作権が発生するのと同様ではないのですか?
単純に一枚一枚はただの写真かもしれませんが、緯度経度、拡大率を元にそれを自在に扱えるようにデータベースを構築する労力をGoogleは注いだわけですから結果に著作権表示がされる事には問題は無いと思います。
その結果に著作権表示をする為にバックエンドデータに著作権表示を刷り込むのは単純に実装と言えるでしょう。「クライアントサイドで刷り込み処理をするのはパフォーマンスが…」と言う主張は通常は通りますし。
えりぞう — 02/28/2006 10:55:01
「写真の集合」であるクエリ結果が著作物だと認められるためには、その結合のさせ方に創作性が必要でしょう。
誰がやっても同じ結果になるという場合は、注いだ労力に関係なく、著作物と認めるわけにはゆかないと思います。
私の見る限りは、Googleの地図にはそういった意味での創作性は見当たりません。
ゆー — 02/28/2006 19:17:14
「衛星写真に自社のブランド名を重ねた画像」についての著作権を主張しているのでは。
というのは冗談として、たとえ著作権が認められないとしても、そのまま転載すれば商標権の問題が発生するでしょうし、画像中の著作権表示を消すことは利用規約で禁じられていますし、グーグルとしては十分目的を達成できるのでしょうね。
……的外れ?
atsushieno — 02/28/2006 19:50:08
DBとしての著作権についてはえりぞうさんに完璧にフォローされてしまったので、それ以上の言及は不要かと思います(「額に汗 著作権」でぐぐってもらえれば分かると思います)。
商標権からというのは面白いアプローチですね。ただ、「GoogleはGoogle社の登録商標です」と書いておくだけでも混同の可能性は否定されるでしょうから、実効性は薄いように思います。また、(C)マークに法律的な意味を認めると、今度は不正競争防止法2条1項13号の定める誤認表示ということにもなりかねません。そもそも、第三者利用を防止する目的で自己の権利が及ばないものに自己の商標を付加しても、ROMの複製を権利侵害とするためにあえて言語の著作物を焼き付けておくという手法(NESでしたっけ)とパラレルに考えれば、商標のミスユースと判断されると思います。